2025年8月8日に公開された『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』シリーズの第7作目となる映画『ジュラシック・ワールド 復活の大地』を観て思ってしまいました。
そもそも恐竜は人間なんかを食べるのでしょうか?
特に全長30メートルもあるモササウルスがスピノサウルスたちと共に、船を襲ってまで食べにくく小さく不味そうな人間をあんなに必死になって食べようとするかなと疑問に思いました。
がんばって追いかけて人間を食べたところで何の足しにもならないと思います。
今までの作品ではあまりそんなことは思わなかったのですが、今作のモササウルス&スピノサウルスはさすがにありえないのではと思いました。
迫力は満点ですが、冷静に考えると「なんでそんなに必死なん!?」とツッコミたくなりました。
映画の恐竜たちは執拗に人間を追いかけて、やたらと攻撃したり食べたがりますが、現実の恐竜は慎重で無駄なエネルギーは使わない燃費重視だったと思われます。
実際には恐竜がいた時代に人間はいなかったので分かりませんが、人間がいたとしても恐竜にとって人間は食べようと思う対象にはならなかったと考えられています。
ティラノサウルス・レックスやヴェロキラプトルなどの肉食恐竜は、当時、草食恐竜や小動物などの狩りやすい獲物を好んで狙っていました。
人間のように賢く、素早く、武器を持って戦える動物は、危険でコスパが悪い獲物です。
しかも食べられたとしても小さくて肉も少なく、骨ばかりで栄養もなさそうですよね
全長30メートルのモササウルス(現実のモササウルスは最大全長13メートル)にとって、人間は人間換算で枝豆一粒くらいのカロリーしかなく、カロリーゼロに等しいです。
ティラノサウルスにとってなら、ご飯茶碗一杯分くらいのカロリーにはなるかもしれませんが、どうせなら体重数トンの大型草食恐竜を狙ったほうが効率がいいです。
がんばって食べたところで、追いかけるのに使ったエネルギーのほうが間違いなく大きいです。
よほどお腹が空いていたら分かりませんが、人間を見つけても無視する可能性が高いです。
人間が虫を見つけても食べようと思わないのと同じだと思います。
人間がたまたま目の前を歩いていたり泳いでいたら、暇つぶしにパクっとされるかも…という程度でしょう。
では小型の肉食恐竜はどうでしょうか。
人間より簡単に襲える小動物や鳥を狙うでしょう。
人間より小型の恐竜であれば、恐竜といえど人間のほうが脅威になります。
ただし、食べる目的ではなく、興味、防衛反応、縄張り意識で襲う可能性はあります。
もしタイムスリップして遭遇したら、肉食恐竜は「これは何だ?」と興味を持って試しに襲うかもしれません。
興味本位で食べてみようとする個体もいるかもしれません。
「何これ、不味そう」と思われて食べられないかもしれません。
これらのことは現代に生きるワニやホホジロザメやシャチ、ライオンなどの大型肉食獣も同じで、人間を好物として積極的に狙うことは基本的にありません。
理由としては、
- より大きく捕まえやすい獲物・好物が別にいる
ライオンは、シマウマ、ヌー、バッファローなどの草食動物を主な餌にしています。
これらは高カロリーで群れでまとまっているため、狩りの効率が良いです。
ホホジロザメもアザラシやアシカなどが好物で、人間はそれらと間違えられて襲われています。
シャチも人間は食べ物ではないと認識しているようです。 - 人間は反撃してくる怖い存在
野生動物は基本的に怪我をしないことを最優先します。
人間は賢く武器を持っているため、怪我のリスクが高く、あえて狙うメリットがありません。
過去の経験や世代を超えた学習により、多くの肉食獣は人間を「危険な存在」と認識しています。
おそらく恐竜も同じように認識するようになると思われます。
人間が一番怖い生物ですね。
ただし、ライオンなどの肉食獣も、高齢や負傷で通常の獲物が獲れなくなったり(弱った個体は安全な獲物を狙いやすい)餌が極端に不足したりして飢えている場合、人間が縄張りに侵入した場合のような条件が揃うと人間を襲うことがあります。
また、山から街に下りてきた動物のように、人間の行動に慣れて人間への警戒心が薄れてしまった個体も人間を襲うようになることがあります。
空腹で人間を襲ってみたら、怖くなかった、強敵じゃなかったと学習し、それから人間を襲うようになります。
たまたま人間を食べた恐竜が、人間を美味しいと感じて、また食べたいと思うことはあるかもしれません。
また、ネコ科の動物やイヌ科の動物など、多くの肉食獣は狩猟本能を持っており、食べる目的でなくとも動くものを捕まえようとします。
肉食恐竜も狩猟本能を持っていたと考えられ、人間が逃げようと走ったりすれば追いかけられることはあると思われます。
現実の恐竜が人間を好物とすることはないが、遭遇すれば捕食される危険はあるというのが科学的な見解です。
映画のように、見つかったらどこまでも追いかけてくるなんていうことはないと思われます。
でも、それでは映画として退屈なものになってしまいますもんね。
映画ではエンタメとして、食べられるかもしれないというスリルが必要なため、恐竜は人間を執拗に襲うという設定になっています。
今作でモササウルスやスピノサウルスに違和感を覚えたのは、明らかに人間を食べようとしている描写だったからだと思います。
これまでの映画や他の恐竜は、食べる目的よりも、興味本位、狩猟本能、縄張り意識などから襲っているように見えたため違和感がなかったのだと思います。
モササウルスにとって、人間は骨ばかりでカロリーゼロのカルシウムのサプリの一粒のようなものです。
体力の無駄遣いにしかならず追いかける価値なしです。
それをあそこまで執拗に追いかけるのは変ですよね。
そんなふうに考えたらツッコミどころ満載でおもしろいです。