※ネタバレを含みますのでご注意ください。
2025年8月8日に公開された『ジュラシック・ワールド 復活の大地』(原題: Jurassic World: Rebirth)には、「ジュラシック」シリーズだけでなく、スティーヴン・スピルバーグ作品へのオマージュが随所に散りばめられています。
ギャレス・エドワーズ監督は、子供の頃からスティーヴン・スピルバーグ監督のファンだったそうです。
そして、1作目『ジュラシック・パーク』と2作目『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』(1997年)の脚本を手掛けたデヴィッド・コープが脚本を担当しています。
スティーヴン・スピルバーグとデヴィッド・コープは「ジュラシック」シリーズを、1作目『ジュラシック・パーク』の雰囲気に戻したいと考えていたそうです。
ヘンリー・ルーミス博士役のジョナサン・ベイリーは「往年のファンに捧げる作品だ」と語っています。
こちらの特別映像の中だけでもオマージュシーンがいくつも確認できます。
『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』シリーズのオマージュシーン
博物館の垂れ幕:『ジュラシック・パーク』(1993)


ヘンリー・ルーミス博士が勤務する博物館に、T-Rex(ティラノサウルス・レックス)のものと思われる化石の展示の上に「When Dinosaurs Ruled the Earth」と書かれた垂れ幕がありますが、これは1作目『ジュラシック・パーク』のクライマックスで、T-Rexの前に落ちてきた垂れ幕と全く同じ文、デザインです。
「When Dinosaurs Ruled the Earth」とは、「恐竜が地球を支配していた時代」という意味で、1970年の映画『恐竜時代』の原題です。
『恐竜時代』『ジュラシック・パーク』の2つの作品へのリスペクトが込められたシーンですね。
背の高い草むら:『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』(1997)
大型草食恐竜ティタノサウルスが現れる背の高い草むらは、2作目『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』でのヴェロキラプトルの縄張りを想起させます。
『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』では、背の高い草むらでヴェロキラプトルに襲われて何人も犠牲になり、とても怖い場所として印象づけられました。
ハンターのアジェイ・シドゥの「背の高い草むらには入るなー!」というセリフも印象的でした。
しかしながら今作ではそんな不安は外れ、肉食恐竜のヴェロキラプトルではなく草食恐竜のティタノサウルスが現れて一安心というシーンでした。
大型草食恐竜ティタノサウルス:『ジュラシック・パーク』(1993)

大型草食恐竜ティタノサウルスの登場シーンは、1作目『ジュラシック・パーク』で初めて恐竜(ブラキオサウルス)が登場した感動のシーンを彷彿とさせます。
ティタノサウルスはブラキオサウルスと同じく大型の草食恐竜である竜脚類ですが、シリーズ初登場の恐竜です。
今作ではさらに求愛行動が初めて描かれ、感動のシーンでした。
ディロフォサウルスの威嚇シーン:『ジュラシック・パーク』(1993)、『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』(2022)

ディロフォサウルスはエリマキトカゲのような襟飾りを持った恐竜で、1作目『ジュラシック・パーク』や6作目『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』、4作目『ジュラシック・ワールド』のパークのイノベーションセンターのホログラフィック映像に登場している恐竜です。
実際のディロフォサウルスとは異なり、このような襟飾りや毒を吐く特徴はフィクションであり、映画オリジナルの恐竜といえます。
そのため「ジュラシック」シリーズを象徴する恐竜の一種となっています。
ミュータドンから隠れるシーン:『ジュラシック・パーク』(1993)
こちらの予告動画の冒頭にも映っているシーンです。
翼竜とラプトル(ヴェロキラプトル)を掛け合わせて作られたハイブリッド恐竜・ミュータドンから逃げるため、イザベラたちが建物(食品販売店)の中に隠れたシーンは、1作目『ジュラシック・パーク』の後半、アレクシスとティモシーが厨房で2頭のヴェロキラプトルから隠れるシーンのオマージュです。
1作目『ジュラシック・パーク』が製作されている頃に、恐竜は温血動物(恒温動物)であることが明らかになり、息でガラスが曇ることでそれを表現した有名なシーンがありますが、これもオマージュされています。
ミュータドンから逃げて防護シャッターをくぐるシーン:『ジュラシック・ワールド』(2015)
さらに、ミュータドンから逃げてきた末に、ギリギリで施設のシャッターをくぐって助かったシーンは、4作目『ジュラシック・ワールド』で、パークの飼育員が誤って、4頭のラプトル(ブルー、デルタ、エコー、チャーリー)の飼育エリアに落下してしまった際に、オーウェンが自ら飼育エリアに入って飼育員を救い出した後に、ギリギリでシャッターをくぐったシーンのオマージュと思われます。
D-Rexを発炎筒で引きつけるシーン:『ジュラシック・パーク』(1993)

映画のクライマックス、ダンカン・キンケイドが突然変異の恐竜 D-Rex(ディストータス・レックス)から仲間たちを逃がすために、発炎筒を使って自分の方へ引きつけて囮となりました。
このシーンは1作目『ジュラシック・パーク』でグラント博士とマルコムが発炎筒を使ってT-Rex(ティラノサウルス・レックス)を引きつけたシーンのオマージュです。
4作目『ジュラシック・ワールド』でもクレアが発炎筒を使ってT-Rexを誘導していましたね。
マーティン・クレブスがD-Rexに頭から食べられるシーンも、1作目『ジュラシック・パーク』でトイレに逃げ込んだ弁護士ドナルド・ジェナーロがT-Rexに頭から食べられるシーンや、4作目『ジュラシック・ワールド』でインドミナス・レックスが脱走した際に、パークのスタッフが車の影に隠れるも車を吹き飛ばされ頭から食べられるシーンを意識されているかもしれません。
スティーヴン・スピルバーグ作品のオマージュシーン
モササウルスが水中から鰭を出してヨットに迫ってくるシーンや船に襲いかかるシーンは『ジョーズ』(1975)を彷彿とさせます。
ケツァルコアトルスが巣を作っている断崖絶壁の遺跡は、まるで『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』(1984)に登場する遺跡のようで、卵を手にしたヘンリー・ルーミス博士まさに宝を発見したインディ・ジョーンズです。

『ジュラシック・ワールド 復活の大地』は、これまでの「ジュラシック」シリーズ(特に1作目『ジュラシック・パーク』)や、スティーヴン・スピルバーグ作品のオマージュシーンがたくさんあります。
これまでの「ジュラシック」シリーズにも過去作のオマージュが多数存在しています。
前作に対するリスペクトが重なって作られてきたシリーズといえますね。
ぜひオマージュシーンを探してみてください!