2016年2月から2020年5月まで連載された大人気漫画『鬼滅の刃』は、2019年4月より始まりの物語である『竈門炭治郎 立志編』がテレビアニメとして放送スタートしました。しかし、その後の物語である『無限列車編』は、テレビアニメではなく映画として制作されました(後にテレビアニメ化もされました)。
なぜテレビアニメではなく映画化されたのか、ずっと不思議に思っていました。
漫画が原作のテレビアニメが映画化される場合、通常は原作にない映画のために作られた特別なストーリーが描かれることが多いと思います。
しかし、『鬼滅の刃 無限列車編』は原作の物語をそのまま、テレビアニメの延長で映画化されました。
それまでそんな作品が他にあったのか、思いつきません。
結果、劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』は、日本での興行収入が404.3億円を記録し、『千と千尋の神隠し』の316.8億円を抜いて日本歴代興行収入第1位、全世界の興行収入は5億700万ドルを記録し、2020年の年間興行収入世界第1位という大ヒット映画となりました。
テレビアニメではなく映画化して大大大正解でしたね。
『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』映画化された理由
テレビアニメを手がけるアニプレックスの高橋祐馬プロデューサーは、
「テレビアニメの制作中は、ufotableのスタッフたちと『機会があれば続きも作りたいね』という話をしていました。そんな中、毎週放送していくにつれて、多くの方に楽しんでいただいているなということを感じました」
「また原作の『無限列車編』はテレビアニメとして1クールでやるには少し足りないかなという分量でもあり、ドラマ性の面で考えても、映画という形で観ていただくことが作品を最も魅力的にできるのではないかと考えました」
https://www.cinematoday.jp/news/N0119099
と語っています。
まず、アニメが好評だったことで続編のアニメ化が決定しました。
そしてテレビアニメではなく映画化された理由としては、
- テレビアニメとして1クールで放送するには分量が足りなかった
- 『無限列車編』の内容、ドラマ性が映画として適していた
この2点とのことです。
最近のアニメはドラマのように1クールで区切って放送され、しばらくしてから続編が放送されるというスタイルをとっていますね。
ずっと原作を追いかけ、追いつきそうになりながらアニメを放送しているのは、昔から続いている『ワンピース』くらいではないでしょうか。
テレビアニメ『竈門炭治郎 立志編』で『鬼滅の刃』人気が幅広い層に広がっていったこと、キリの良いところまで1クール単位で区切ってアニメ化するスタイルであり、『無限列車編』の物語が短かったこと、そして、煉獄さんと猗窩座との熱い戦いが映画化に耐えるドラマティックな内容だったから映画化されたんですね。
昔のようなテレビアニメの放送スタイルではおそらく映画化はされていなかったでしょうね。
後に『無限列車編』はテレビアニメ版として再構成され、2021年10月10日から11月28日まで全7話として放送されているので、1クール単位というのは絶対的なものではないようですが、いくつかの条件がタイミング良く揃った奇跡の映画化だったのではないでしょうか。
『無限列車編』の大成功を受けて、今後は映画オリジナルストーリーではなく原作のストーリーが映画化される作品も出てくるだろうと思います。
2021年12月には『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』を原作とした映画『劇場版 呪術廻戦 0』が公開されましたが、『鬼滅の刃 無限列車編』の成功があったことは大きいと思います。
そして、『鬼滅の刃』の最後の物語である『無限城編』の映画化も決定しました。
今思えば、『ワンピース』の「マリンフォード頂上戦争」などは映画化しても成功していただろうと思います。
『ドラゴンボール』のサイヤ人編のナッパ、ベジータ戦や、ナメック星編のフリーザ戦などは、今映画化しても成功するだろうと思います。
映画オリジナルストーリーのアニメは、無理やりキャラクター全員の活躍を描いていたり、時間制限や原作に影響しないように内容の制限などがある中で、ストーリーに重きが置かれていないと感じることが多く、正直あまり面白くない作品が多いです。
原作ストーリーの映画化は多くの方に望まれている形の一つではないでしょうか。
『鬼滅の刃 無限列車編』を映画化した決断と成功は、今後のテレビアニメとアニメ映画のあり方を変えたと思います。